OTC類似薬への「特別の料金」導入と活用
―薬剤師に求められる説明―
注目の2026年度の医療保険制度見直しでは、さまざまな切り口があります。
OTCニュースではできるだけ切れ目なく情報を整理してお伝えいたします。
制度の中身は・・
はじめに、OTC医薬品と成分・投与経路が同一で、1日最大用量も同等である医療用医薬品について、新たに薬剤費の4分の1相当を「特別の料金」として患者が追加負担する仕組みが導入される方針です。厚生労働省資料では、まず77成分・約1,100品目を対象とし、保険給付自体は維持したまま、長期収載品の選定療養と同様の考え方で「別途の保険外負担」を求める整理が示されています。実施時期は令和8年度中(2026年度中)で、政府資料や報道ベースでは2027年3月施行を目指す方向が示されています。
今回の見直しのポイントは、「処方そのものが直ちに保険給付から除外されるわけではなく、通常の定率自己負担に加えて、対象薬剤については薬剤費の25%相当を追加で患者が負担する仕組みとなっています。
制度としては、OTCで対応できる軽症領域について、保険財政との公平性を見直すこと、そしてセルフメディケーションを後押しすることが明確に打ち出されています。
実務では・・
特に影響が大きいのは、OTC需要が拡大しやすい領域が明確になりました。厚労省の対象成分案には、解熱鎮痛薬、抗アレルギー薬、制酸・緩下剤、去痰薬、殺菌消毒剤、皮膚外用剤、鎮痛消炎外用剤などが含まれており、具体例としてロキソプロフェン、イブプロフェン、フェキソフェナジン、ロラタジン、L-カルボシステイン、酸化マグネシウム、ヘパリン類似物質、尿素製剤、弱~中等度ステロイド外用剤といった、日常診療でもOTC販売でも接点の大きい成分群が挙がります。
制度変更による影響は・・
患者にとって、従来は「病院で処方してもらった方が安い」と感じられやすかった場面でも、今後は処方薬+特別の料金という負担構造になるため、軽症・一時的症状ではOTC購入の方が費用面でも時間面でも合理的となる場面があります。
加えて、受診の手間や待ち時間まで含めると、患者にとっての“総コスト”はさらにOTC寄りに傾く可能性があります。これは単なる制度改正ではなく、「受診して薬をもらう」から「症状に応じて適切にセルフケアする」への行動変容を促す政策転換と捉えるべきでしょう。コスパを重視する時代でOTCが注目されそうです。
政府の考え方・・
今回の見直しを単独施策としてではなく、スイッチOTC化の推進と一体で進めています。骨太方針2025では、必要な受診確保や患者負担への配慮を前提に、さらに医薬品・検査薬のスイッチOTC化に向けた実効的方策を検討することが明記されています。厚労省資料でも、令和5年末時点で海外2か国以上でスイッチOTC化されているにもかかわらず国内で未承認の約60成分について、令和8年末までのOTC化を目標とする方針が示されています。検査薬についても、政府方針の中でOTC化・活用促進を含めた見直しが進められています。
売り場提案
売場づくりの観点では、今後強化したいのは、解熱鎮痛、アレルギー、胃腸、便秘、鎮咳去痰、皮膚外用の6領域です。これらは制度上の追い風があり、かつ患者のセルフメディケーション移行が比較的起こりやすい分野です。あわせて、関連商材としてマスク、点鼻補助、保湿剤、整腸サポート、服薬記録ツール、検査薬などを組み合わせることで、単品販売ではなく生活提案型の売場が組みやすくなります。政府がOTC医薬品だけでなくOTC検査薬の活用促進も視野に入れている以上、薬局・薬剤師は「薬を売る場」から「適切な自己管理を支える場」へと、さらに役割を広げる好機にあります。